健康格差社会: 何が心と健康を蝕むのか / 近藤克則 (2005) ... dasa
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Last update: March 28, 2026, 6:07 p.m.

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宇沢弘文の社会的共通資本に通ずるところがある気がして興奮した。経済学者が願った社会像に根拠を与えるのは医学者かもしれない。
一番の見どころは、健康を幸福と読み替える自然さ。序盤は腑に落ちない感覚があったけど、読み進めるうちに洗脳されてきた。いや、WHOの健康の定義について、まだまだ自分は落とし込めていなかったということか。アルマアタ宣言のHealth in All Policyや第3次健康日本21もついに文脈を理解できた気がする。

疫学の勉強会をしていたときにアドバイザリーとして設置したGeminiによく叱られた。「疫学は定義の学問です」。今回もつくづくそれを実感した。貧困とは何か、健康とは何か、幸福とはなにか、といった高次元のテーマを扱うにも、定義が不可欠だ。思うに、科学の追求をプライマリエンドポイントにしていないところがこの分野の一番の特性だろう。ただ科学を面白いと追求することには多大なロマンを感じている私だが、政策や生活に還元されてはじめて意味をもつ社会疫学との向き合い方には悩ましいものがある。だから、著者が最終章、疫学者が自らの価値観に基づいて仕事をすることを肯定していたことに励まされた。

★5つけたかったのだけれど、いまの私では紹介されている報告を解釈して自分の意見を形成していける気がしないので、とりあえず★4に。

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