Forrest Gump / Robert Zemeckis (1994) ... dasa
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Last update: Aug. 12, 2025, 4:05 a.m.

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以前出席したセミナーで小児科医(精神科医だったかも)が、自閉症はOSの違いのようなものだと説明していたことを思い出す。私たちが自閉症児を理解できないのは、単にコマンドが異なるだけで、それぞれのロジックで動いているというのだ。IQ75、stupidだと言われて育つフォレストガンプもまさに、OSがマイノリティのものだったというに過ぎない。もちろん、マジョリティもすべてが1種類というわけではなく、マジョリティ内でもお互いを完全に理解できるわけではない。Unix系の括りで1種類という程度だと思う。ところで、我々にOSの違いを否応なく意識させる最たる例は、愛にあると思う。愛してると言ったフォレストガンプに、ジェニーは愛を知らないくせにと返す。ただ、自分が思う愛が相手と同じ愛だと確かめようがないのは、自閉症に限らない。フォレストガンプは物心ついたころから他人との違いを突き付けられ、理解はできないもののパターンとして、自分が人と違うことを認識させられてきた。自分の考えがほとんどすべて他人には通用しないことを知っている彼が、ラストシーン、躊躇いながら息子に愛してると言うのは非常に印象的だった。

もう1点、フォレストガンプを通して考えさせられたのは、社会の特性について。社会はあまりにも結果しか見ないということ。ただ走れと言われて走り、ヒーローとして地位を築いた結果のフォレストガンプと対照的に、国や仲間を想う情熱、すなわち過程の小隊長がアルコホリックでペシミスティックな身障者として荒廃した生活をしているのはこの物語の象徴的なパーツだ。ただわけもなく走るフォレストガンプに、思い思いの過程を見出し追いかける信者たちが滑稽に描かれるのも、なんだかんだ結果しかみない社会への問題提起のように思われた。あるいは、共感力なんて言葉があるけれど、結局のところ自分勝手な過程の押し付けでしかなくて、本当に他人を理解することなんてできないとも思わされた。本作もあくまでフォレストガンプの過程風の結果を描いたに過ぎないわけだから、自分勝手な解釈をする私も滑稽極まりない。

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