神の子どもたちはみな踊る / 村上春樹 (2002) ... dasa
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Last update: June 9, 2025, 1:27 p.m.

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数か月前、テレビドラマでちらとみた、本書の一篇「アイロンのある風景」の実写化を思い出して手に取った。テレビドラマverでは、阪神淡路大震災後さらに経ち、東日本大震災直前のような描かれ方がしていた一方で、原作は2002年という驚き。映像化にあたっての脚色があるんやな。

地震がテーマと聞いていた手前、一読して、短編のどれも、地震はメインテーマにはなっていない。P波、S波なんてのがあるが、そのもっと後で訪れる、別の波に動かされる登場人物が描かれていた。
本作は、リアリズムと幻想の境目が見分けづらく、恥ずかしながら私には素直に理解できず悔しい。阪神淡路大震災が圧倒的なリアルとして存在することを逆手にとって、ストーリーはもっぱら幻想に思えた。オッペンハイマーが、日本の原爆被害者視点を持たなかったことに似たものを感じる。少なくとも、震災被害者を弔う目的の作品ではない。

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