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正直たべっ子どうぶつは好きなお菓子ではなかった。子どもに英単語を学ばせようとする観点から、リソースを文字列の印字に振ってしまい他を疎かにした菓子。味がパッとしないことに加えて、見知らぬ文字(アルファベット)への嫌悪感もあったかもしれない。でも何より許せなかったのは、ビスケットの形だった。幼い頃、おっとっとを形ごとに分別し整列させるのが趣味だった私だが、たべっ子どうぶつを並べた覚えはない。それは、パッケージに記載されたイラストと実物のビスケットを対応させるのがかなり難しかったからだと思う。文字列でなんとか上下を判別できるものの、どの凹凸が頭なのか脚なのかさえもわからない、どうぶつの形とも言い難いものだった。そういうわけでたべっ子どうぶつはお菓子コーナーで目に留まらず、大人になるにつれてさらに見かけなくなっていた。
ところが近年、しみチョコ要素とジップ型包装を導入したおかげで私に再注目される機会を得た。美味い。もうビスケットにアルファベットを印字することも止めたようだ。お菓子の形を気に掛ける繊細な少年も、今の私の中にはもういない。ただただ、美味いお菓子。とはいっても、美味いお菓子は世の中にたくさんある。たべっ子どうぶつは美味しいチョコレート菓子の一つ。それに過ぎなかったはずだ。
だから、上映スケジュールのなかにたべっ子どうぶつthe movieを見たとき、目を疑った。あのフォントには見覚えがあるが、キャラクターなんてあっただろうか。かつて味イマイチ、形状イマイチのB級教育お菓子だったはずのたべっ子どうぶつ。美味しくなっただけで映画化は納得できない。きっとなにか裏があるに違いない。そこで私は、これを観に行くことに決めたのだった。
Comments
ほんでなんでアレ映画化してんねん。
自分の主観が正しいと思ってたんやな。自他境界の線引きが苦手な子供にありがちな、傲慢な精神。それでいて、馴染みのない文字列は忌み嫌う、“大人”びた精神も持ち合わせた醜悪な餓鬼。
俺も嫌いやったわ。あれまずい。
形も、おっとっとと比べれば平面なクセにヘタクソ。