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中盤にかけてはどう着地するのか不安だが、いざ終幕を迎えるとなるほど、といった作品だった。反差別的な活動によってかマイノリティ性や自身のトラウマなども、いとも容易くその人を表してしまう現状に一石を投じる作品
本作では暴力から暴をとろうと模索するキースと、自身のマイノリティ性に対する寛容さがむしろ暴力的と感じていたモモの物語を展開する
日本という国の中で、日本人として生きている私たちは、人種的にもその多数派を生きているわけだが、それは日本人であるという根拠がそこにあるのだろうか
ミックスの人たちが感じるどちらともつかなさ、どちらでもあらねばならぬという決めつけや押し付け
性的マイノリティにも同じようなことをしているのではないかというアナロジーによって関連づけられたそれらの意義についてもう少し考えたい
自分が産まれた理由やきっかけ、それらを否定することにも繋がりかねない偏見は、当事者間でさえも気づかないうちに行われる
誰もが多数派でありながら少数派であり、少数派でありながら多数派であるという視座から見れば、本作は陳腐なものになってしまうかもしれないが、少数派という意識を日頃から強く持っている人にとっては、その陳腐ささえこれまで表現できていなかったものなのかもしれないという店において傑作なのかもしれない
本作の選評で平野啓一郎氏が神話的暴力と神的暴力という言葉を使って評していたがさっぱりわかりませんでした
しかしこの作品を恋愛リアリティショーものとして紹介するのはいささか安易で、作家性ともかけ離れているように思えてならない
自分が圧倒的にマイノリティだと感じたことがなくて、もしかしたら今後社会に出たときにそれが重大な問題になるんじゃないか、なんて想像してる今日この頃。